■
天文、宇宙に関する話題には正直言って最近はあまり心を動かされることが無かった。昔のように、初めて月に行った、初めて宇宙遊泳した、といったインパクトのあるニュースが無くなり、各種分野の専門性に関わる発見が多くなっていることもある。しかし考えてみれば、「初めて宇宙遊泳した」とか、「初めて月に行った」といった事件は発見ではなくて経験である。それらに続く多種多様で、ある意味、散文的な調査結果こそが発見の内容である筈だ。
BBCニュースでヨーロッパの土星調査衛星の調査結果が報道されていた。こういうニュースはもちろん日本でも天文関係のサイトでは報道されているのだろうが、一般の新聞では必ずしも報道されないようだ。
このニュースの見出しは土星の衛星であるタイタンで大きな山脈が見つかったという内容である。その山脈の成因を始め、地質構造や化学成分の面でタイタンの現在が過去の地球の状態と非常によく似ていることが説明されている。
タイタンという名前は衛星の名前としては確かに最もよく聞く名前であり、地球と似ているということも聞いたことがあるように思う。この様に具体的に調査結果を見てみると、確かにタイタンの調査は地球の月よりもはるかに、またある面では火星や金星、また他の惑星以上に興味深く重要なものであるのかもしれない。
同様に、日、英、米の何れのニュースサイトにもNASA のスターダスト・ミッションの報告があった。http://www.asahi.com/science/news/TKY200612140414.html
この、asahi.com の記事とNYタイムズの記事は大体似た内容で、彗星の成分分析結果から見た、彗星と太陽系の生成過程に関する知見である。両者にブラウンリー教授という名前が出てくるが、いつものとおりNYTの方がずっと詳しく、直接の談話として出てくる。また他の関係者の談話もある。しかし、asahiの方にはNYTの記事には無かった太陽系とサンプル採集位置の図面があり、これは非常にこのミッションの理解の参考になる。
BBCニュースでも同じミッションの報告ニュースがあったが、こちらは全体として最も詳しく、特に有機物を調査している研究者の談話が中心となり、見出しに現れているように生命の起源との関わりを示す物質の話が最初の大きな部分を占めている。
身近な、切実な問題で煩わされるのに疲れると、こういった話は一種の逃避になるのかも知れない。
posted by ヤグルマ at 2:09 午前 0 comments