現代人のルーツ
今日、NYタイムズの科学欄のトップは、50年以上前に南アフリカで発見された人骨頭骨の正確な年台測定が可能になり、現代人のルーツがアフリカ、サハラ以南の地であるという仮説の有力な根拠となったというニュースであった。これはいわば、多数の状況証拠があったにも関わらず決定的な物的証拠が無かったところに、かなり有力な物的証拠がもたらされたという事であろう。しかし普通は放射性炭素同位体で測定されるところ、炭素量が少ないので頭骨内の砂に吸収された放射能で測定したという、この測定法は、かなり込み入っているような印象を受ける。
ともかくこれで、人類学上の現代人のルーツの問題はひとまず解決したということになるのだろうか。
この種の話題でちょっと気になるのは用語の問題である。英語でModern humanとかかれているが、現代人と訳して良いのだろうか。日本語では旧石器人に対する新人という言い方を習った記憶があるが、人類学では正確にはホモサピエンスというべきなのであろうか。地学事典で新人を引いてみると、英語ではneanthropic man という難しい表現がでている。NYタイムズで用いられているmodern humans という表現は学術語ではないのだろうか。日本語で現代人とか近代人といった表現を使うのもあまり適当ではないように思えるが、ちょっと厄介な問題だと思う。