ブログ・発見の発見/科学と言葉 [2006年12月~令和元年まで]

2020年6月22日、本サイトの更新と過去の記事はhttp://yakuruma.blog.fc2.com/ に移転しました。当面、令和元年までの記事が残されています。

以前のタイトル:ブログ・発見の「発見」―科学上の発見から意味を発見―

2007年に本ブログを開始したときは、ウェブサイト上の科学に関するニュース記事(BBCニュース、ニューヨークタイムス、および日本の有名新聞サイト)に関するコメントとして記事を書き始めました。現在、当初のようにニュース記事に限定することなく、一般書籍や筆者自身の記事を含め、本ブログ記事以外の何らかの科学に関わる記事に対するコメント、具体的には感想、紹介、注釈などの記事を書いています。(2019年4月)

しらみによる人類学

遺伝子研究による人類学や歴史学の、従来の学説を覆す、或いは再考をせまるような発見のニュースが相次いでいる。特にイギリスで盛んに研究が進められているのだろうか、イギリス人の遺伝子的研究では以前に、特定の苗字を持つ人たちにアフリカ人特有の遺伝子が入っているという研究や、ジェファーソンのような歴史的個人の人種的研究などもあったが、9日のブログでも取上げたように古代史や言語年代学にも影響を及ぼすようになってきているらしい。今回のNYタイムズの記事はそれが人間ではなくしらみ専門家によるしらみの遺伝子研究による人類史への参入になっている。
http://www.nytimes.com/2007/03/08/science/08louse.html?ref=science
こういう発見のニュースをみると、本当に数多くの分野の研究が入り組み、絡み合って来ていることが分かる。特に生物学はもはや歴史学や文化の研究とも一体となって行くもののようにも思える。

それはともかく、この研究自体は無条件で面白いことは確かである。人間に何故体毛がなくなったのか、とか、衣服の問題など、実に興味深い、或いは面白い問題であるからだ。ただこの場合フォーカスが当てられるのがしらみとは、このニュースの冒頭でも述べられているように、人間の尊厳にとって美しくはないが。