野生のコウノトリと特別天然記念物
兵庫・豊岡のコウノトリ、孵化を確認…国内では43年ぶり(5/20よみうり)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070520i102.htm
先のツシマヤマネコのケースと同様、このニュースも言葉の使い方で誤解や疑問を誘発するものを多く含んでいる。
「野生のコウノトリは71年5月、豊岡市で絶滅した。」との解説があるが、それでは「自然界に放鳥された国の特別天然記念物・コウノトリ」の正体は一体何なのだろうか、と誰でも疑問に思うのではないだろうか。推測すれば、野生とは別に人工的に飼育されていたのだろうか、とでも思われるが、それはこのニュースでは分らない。
同じニュースがほぼ同時にBBCニュースに出ており、「(0705/20/) Endangered white storks hatch egg, http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/6674439.stm」、 それによれば自然に放鳥されたコウノトリは、ロシアから贈られたものだと書かれている。ロシアから贈られたものならば「国の特別天然記念物」というのはおかしいのではないかとも思われる。無理に解釈すれば、具体的な個体ではなくコウノトリという「種」を天然記念物と称しているのかもしれない。しかし、ロシアから贈られたということは、ロシア産のコウノトリも同一種であることになる。ロシア産のコウノトリも含めて「国の特別天然記念物」として指定するわけには行かないだろう。「国の特別天然記念物」とは日本国内に生息するコウノトリという種であると解釈すべきだろうか。とすればやはり、ロシアから贈られたものは「国の特別天然記念物」というのはおかしいことになる。要するに日本で放鳥することによって新たに特別天然記念物である野生のコウノトリを人為的に作ったということなのだろう。