運動、休息、眠り、瞑想、そして嗜好と関わる健康
この一ヶ月間ほどの医学・健康記事で印象に残ったものには表題のように運動、休息、眠り、瞑想、嗜好等に関わるものが多かった。共通して言えるのは心と身体とに深く関わるテーマだということに気づく。もっとも最後の嗜好に関わるものは具体的には煙草と飲酒のことで、煙草の煙そのものとアルコールという化学物質の問題で、心の問題とは別かもしれない。
適度の運動、休息、眠り、そして瞑想と、何れも身心に良い影響を与える統計的な研究結果が発表されている。もっとも身体の運動、休息、眠りの何れも必用なことは当たり前過ぎることでもある。しかし改めて何故これらのものが健康維持に必用なのかを考えることは専門的にも難しい問題であるのだろう。また何れも、量的にも質的にも大きな変化がありうる。
具体的には、太極拳の実行が免疫力を高めることを既知の事実とし、更にある種のウィルスに対する免疫力劣化の防止効果についての記事 (07/04/17) Exercise: A Little Tai Chi Can Go a Long Way Against Shingles が有り、睡眠あるいは仮眠が思考力に及ぼす効用を証明した研究 (07/05/01) Mental Abilities: ‘Sleep on It,’ It Appears, Really Is Good Advice (N) が有り、瞑想トレーニングが注意力を向上させ、脳の機能を高めることが明らかになったとする調査 (07/05/08) Study Suggests Meditation Can Help Train Attention (N)がある。最後の研究は具体的には一定時間内に視覚や聴覚から得られる多くの情報を逃さないようになる訓練であって、このような能力は固定的であると考えられてきたが、瞑想トレーニングで増強させられることが、かなり具体的なメカズムのレベルでの研究で証明されているようだ。瞑想などに関する科学的研究は色々なところで行われてきており、研究も進んでいるのだろうけれども、こういうメインのニュースの範疇で扱われることは比較的少ないのではないかと思う。
眠り、あるいは仮眠も瞑想とは違うが、共通する部分もある。眠りは誰にとっても欠かすことが出来ないものであるけれども必用な睡眠時間というものが、例えば必用なカロリーや栄養素の量のように確定しているわけでもないし、心理的な要因で眠気を起こしたり覚醒したり、本当に謎に満ちている。上記の研究で明らかになったとされる効果にしても誰もが既に直感的にあるいは経験的に知っているような面もある。それでもこういった研究も更に、また多面的に進めていって貰いたいものだと思う。
心と身体との関連については身心相関という言葉を以前はよく聞いたものだが、何故か最近は聞くことが少なくなっているように思う。運動にしても、休息にしても、眠りにしても、あるいは瞑想にしても、何れも身体と心に深く関わる。精神医学に限らず、医学全般もいまはもう、こういった心との関連を視野に入れざるを得なくなってきたのではないだろうか。