すす(煤煙)の温暖化効果
数ある地球温暖化関連のニュースの中で12日のニューヨークタイムズの記事――(07/06/12) Warming in the Arctic? Blame the Snow. The Dirty Snow, That Is. http://www.nytimes.com/2007/06/12/science/12obse1.html?ref=science――
は特に注目すべきニュースだと思う。また、はっきりいってわが意を得たような記事だと思った。(要約はウェブサイト――http://www.ne.jp/asahi/qz/jtnk/sci/hakkentop.html)
地球大気の温度変化には様々な要因があることが知られており、その中には煤煙のすすで雪の色が暗くなり、光線の吸収率が上がることによる吸熱効果があることはかなり有名で一般にも知られた現象である。科学者が地球温暖化の要因について述べる場合もたいていはそのことに言及をする。しかし大抵の場合、それは数ある要因のなかに埋没してしまうのである。素人にはもちろん、それが地球規模でどれほどの温暖化効果を持つものかは知る由もない。筆者個人的には煤煙の及ぼすそういった効果はCO2の効果より大きいのではないかと思うこともあったが、もちろんそれは単なる直感でしかない。しかし、その効果そのものはCO2の効果よりも明白であるし、なによりも煤煙は人の健康を始めとしてCO2では問題にならないような、環境に及ぼす影響は大きい。CO2の総量規制にばかりに人々の注目が向けられることによって、煤煙等の汚染物質への配慮がおろそかになるのではないかと、僭越ながら心配してもいた。そういうわけでこの記事には大いに注目したいと思う。この記事をみると、国連のIPCCなどの報告で用いられているモデルなどではこういう研究は無視されてきたとしか思えない。ニューヨークタイムズの記事としてもあまり大きく取上げられてもおらず、数ある温暖化記事の一つとして埋没してしまいそうである。
この記事によれば、最近200年における北極の1.6度の気温上昇のうちで0.5〜1.5度までの範囲がこの、すすによる効果で説明できるとなっている。これが正しいなら、温暖化の要因には他にもあるはずだから、これに比べればCO2の影響は微々たるものでしかないと見ることも出来そうである。
もちろんこの研究だけが絶対に正しいと決まったわけでもないし、もっと研究が続けられるべきだが、とにかく最優先される対策としてはCO2の総量規制は必用かも知れないが、それだけにこだわることなく、煤煙のような環境汚染物質の方が優先されるようになることを願わずにはおれない。