自然のサイクルによるCO2濃度変化
(07/08/23) 氷期・間氷期:地球の公転・自転が影響 東北大など、南極の氷で実証 (msn毎日) http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070823ddm003040098000c.html
この記事を見てすぐに思い出すのは「世紀末の気象」で取上げられていた南極ボストーク基地の氷のボーリング調査結果である(当ブログ7/22の記事)。地球の公転・自転等と古気候との相関に関してこの記事の研究では「世紀末の気象」と同じ結論を出していると考えて差し支えないように思われる。ただ素人にとって分らないのは酸素と窒素との比を測定したということの意味、それから「日射量の変化後、2000〜7000年遅れて南極の気温や二酸化炭素濃度が変化していたことを突き止めた。」という記述中の2000〜7000年という遅れの意味である。2000〜7000年という範囲はそれ自体、3倍以上の開きがあり、相当な誤差があることもうかがわせるけれども、最低の2000年としても、日射量変化と気温変化のずれは余りにも大きく思える。それはともかくとして、気温変化と大気中CO2濃度が共に日射量の変化の影響によるものとしていることは間違いがなさそうである。しかし、過去の気温変化とCO2濃度変化とが何故、並行的に起きているのかという点に関しては全く説明がない。ネイチャー誌に発表された論文でそれに触れているかどうかは別として、少なくとも記者には、一般人に最も関心の持たれる筈であるこういった問題や疑問点などを科学者に取材して貰いたいものだと思う。
とはいえ、大気汚染物質による温暖化への影響や、このような地質学的な「自然のサイクル」に関する記事が見られるようになったのは政治やマスコミ環境に一定の変化が起きているのかも知れないとも思わせる。いずれにせよ、可能な限り真実に近いところを一般人に分りやすく報道して欲しいものだと思う。世界的な問題であるだけに、日本の科学者、マスコミ、そして政治家が主導的役割を果たせる可能性も残されているのではないだろうか。