ブログ・発見の発見/科学と言葉 [2006年12月~令和元年まで]

2020年6月22日、本サイトの更新と過去の記事はhttp://yakuruma.blog.fc2.com/ に移転しました。当面、令和元年までの記事が残されています。

以前のタイトル:ブログ・発見の「発見」―科学上の発見から意味を発見―

2007年に本ブログを開始したときは、ウェブサイト上の科学に関するニュース記事(BBCニュース、ニューヨークタイムス、および日本の有名新聞サイト)に関するコメントとして記事を書き始めました。現在、当初のようにニュース記事に限定することなく、一般書籍や筆者自身の記事を含め、本ブログ記事以外の何らかの科学に関わる記事に対するコメント、具体的には感想、紹介、注釈などの記事を書いています。(2019年4月)

誤解を招きかねないアサヒコムの見出し

アサヒコム、16日の記事、「(07/09/15) 薬剤耐性遺伝子、海の細菌から人体へ移動も 愛媛大研究」
http://www.asahi.com/science/update/0915/OSK200709150076.html
を見て、おや、と思った。というのはつい最近の記事、(07/09/04) BBC News | Enlarged Image (45) (B)http://news.bbc.co.uk/2/shared/spl/hi/pop_ups/07/sci_nat_enl_1188503562/html/1.stm
(07/09/04) When Bacteria Transfer Genes to Invertebrates and Spread From There (N)http://www.nytimes.com/2007/09/04/science/04obgeno.html?ref=science
が印象に残っていたからである。この記事も異種生物間の遺伝子移動に関するもので、ウェブサイトの方に載せた要約は次のとおり:細菌と多細胞動物間の遺伝子の移動は非常に稀であると考えられてきたが、Science誌に発表されたDr. Werren, Julie C. Dunning Hotopp of the J. Craig Venter Institute 他の研究により、細菌から無脊椎動物への遺伝子の移動が頻繁に起きている事が明らかにされた。これは生殖プロセスを通じて子孫に引き継がれる。

この記事に目を通してから上記アサヒコムの記事見出しを読むと、細菌から無脊椎動物への移動どころではない、細菌から人間への遺伝子移動という、とんでもない現象と受取れるからである。記事の内容を読むとそれは細菌から人間の細胞への移動ではなく、生魚などの食べ物から消化器官に入った細菌から大腸菌などへの遺伝子移動のことであることが分った。これはこれで危険なことである事は記事を読めば分る。

アサヒコム、すなわち朝日新聞の科学記事の見出しと内容に、素人から見ても不適切と分る表現がしばしば見られることはもう、相変わらずとしかいいようがない。今回のケースは見出しだけで、内容を読めば問題はないとは言えるが、それにしても相当ひどいのではないかと思う。以前のケースも相当ひどいものと思ったのだが。