代替エネルギー関連のニュース
温暖化が今後も続くにせよ、続かないにせよ、あるいは寒冷化するにしても、代替エネルギー開発の必要性については長期的に、異論の余地がない。
代替エネルギー関連のニュースで興味深く思われたものが幾つかある。
初めはちょっと古くなるが、2月末のニューヨークタイムズの記事。
(08/02/26) Photovoltaic Cells Are Still Very Green, Comparative Test Shows (N) http://www.nytimes.com/2008/02/26/science/26obsola.html?ref=science
これは電池のライフサイクルで発生する電力に対する排出CO2換算値と、太陽電池の製造工程での消費電力に対する排出CO2換算値との差をパーセントで表したものの様で、4種類の太陽電池の何れも89%以上であり、「非常にグリーン」であると評価している。
太陽電池は製造コストが高くつき、効率も悪いので化石燃料削減の効果は期待できない、という批判が以前にはよくあったが、この数値が正しいなら、現在に至って性能と生産性が相当に向上したように見える。ただ、寿命が尽きるまで使い切ることが出来るのかどうかといった点が気になる。
このようなニュースは日本でももっと大きく取り上げるべきだし、十分に効果が期待できるようになったのであれば、もっと頻繁に同様の調査を実施して発表すべきだろうと思う。太陽電池は効率が悪いというのが既に偏見になったとしても、そういう偏見を持っている人はまだ多いはずである。太陽電池のメーカーもエコエコと語呂合わせのような宣伝ばかりしていないで、わかり易いデータを出して宣伝するべきである。この種の製品に関しては科学的で具体的なデータを示さなければ意味がない。
BBCニュースやNYタイムズでは、よく風力発電関連のニュースが取り上げられる。大きな風車の並んだような風景がよく掲載されている。内容的には景観を破壊するとか、野鳥への影響、その他の環境問題との関連記事が多いようなのであまり見てはいなかったが、BBCニュースの次の記事は、風をバッグに貯めるという風神のイメージそのもののアイデアで、面白く興味深かった。
(08/03/26) The man making 'wind bags' (B) http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/nottinghamshire/7315059.stm
これはエネルギーを圧搾空気としてフレキシブルなバッグで海底に貯めるというアイデアだそうである。風力にしても海波にしても、いったん電力にしてからコンプレッサーで貯めるのか、直接風を送り込むのかどうか分からないが、おそらくはいったん発電してからであろうが、風を直接ふいごのように送り込むことが出来るとすれば面白い。そのようなメカニズムは、色々考案すること自体が面白そうに思える。
発案者のGarvey教授が言っている「"We have to overcome the instinct that (this idea) is too simple to be good.」という発言は意味深いものがある。しかしとにかくプロトタイプが出来ることになったそうである。
バイオフューエル関連では、海藻などの藻類で油を多量に含むものがあって、それを栽培して燃料をとるという研究がアメリカでも日本でも行われていることが、NYタイムズでも日本のニュースサイトでも報じられていた。こういう話は殆ど一般には知られていない。しかし記事を読むと期待が持てそうな気がする。穀物のバイオフューエルに関して言えば、現在問題になっているような森林破壊や食料が犠牲になるような問題は最初から分かっていた筈で、このような問題が発生したこと自体、当初のアイデアに問題があったとしか思えない。