医療に役立たない研究 ―― 盲腸と虫垂の機能
多くの人々にとって特に切実でもないが、結構よく知られ、興味深く思われている生物学上あるいは生理学上の問題がある。盲腸と虫垂の機能がそれだ。虫垂炎にかかる人が多いからかということもあり、虫垂が何のために存在しているのかが分かっていないということはかなり有名な話だ。その虫垂の機能についての仮説が専門誌に公表されたというニュースで、その仮説は素人にとっても興味深いものがある。
(08/06/17) Helpful Bacteria May Hide in Appendix (N)
http://www.nytimes.com/2008/06/17/health/research/17appe.html?ref=science
これによると、「Last December, researchers published a novel explanation in The Journal of Theoretical Biology」ということで、その仮説というのは、虫垂は人体と共生する細菌の隠れ家になっていると言うことである。これを証明するにはそれなりの調査をしなければならないが、それには費用がかかり、病気の治療に繋がる訳でもない研究のためにそんな費用を使うわけにはゆかないと、その研究者は語っている。
仮説とは言っても、「長年にわたる多数の事例から演繹されたもの」であると、その Parker博士 は言っている。演繹されたものならば単なる仮説とも言えないのでは無いかとも思えるが、その辺はよく分からない。
個人的に思うに、確かに医学として、病気治療に繋がるわけでもない研究に費用を使うわけにはゆかないかも知れないが、生物学として調査に値する興味深い問題ではないかとも思うのだけれどもそれはどうなのだろうか。