CO2温暖化説を信じていないと思われる権威筋の太陽研究者 ― 太陽活動のニュース報道(2)
先般、このブログ記事で取り上げたように、四月に読売新聞やBBCニュースなどで報じられた同種のニュースが、2ヶ月ほどたった現在、再び朝日新聞で取り上げられている。
弱る太陽 活動200年ぶりの低水準
この朝日のニュース記事は先に取り上げた読売やBBCニュースとは多少異なった視点で報道されている。というのも、CO2温暖化説については全くコメントされておらず、純粋に太陽活動の説明のみに終始しているからである。そして『研究者も「このままだと地球はミニ氷河期に入る可能性がある」と慌て始めた。』という意味深長な表現が見られる。後の方で3人の太陽研究者のコメントが紹介されているが、この「慌て始めた」研究者が誰なのかは書かれていないので、それらの3人全員であるのか、1人であるのか、いずれでもないのかよく分からない。また、この「慌て始めた」というのが、どういう意味で「慌て始めた」というのかもよく分からないところがある。
太陽の活動が200年ぶりの低水準という事で、11年周期の低水準期から極大期への移行が遅れているということらしいが、これは後の方で『東京大宇宙線研究所の宮原ひろ子特任助教は「ここ1千年でも活動の極小期が5回あり、前回が1800年ごろ。歴史的には、そろそろ次の極小期に入ってもおかしくない」と指摘する。』とコメントが紹介されているように、特別意外なことでもなく予想されていた筈だからである。このブログで何度も引用している根本順吉氏の『世紀末の気象』によれば普通11年周期といわれている太陽黒点増減の短期的周期は平均的に11年とされているが、実際には10年〜12年の変動があり、寒冷期には12年周期になっているとの事であるから、現在低水準期が長引いているのはたしかに11年周期が12年周期に変わりつつあり、寒冷期に移行しつつあるという事であろう。
そして、過去に太陽活動が低水準で、それに呼応する寒冷期があったという事実自体が、20世紀後半の温暖化傾向がそれに照応する高水準の太陽活動に起因していたことを示すことになるわけで、時間的なずれはあるものの、実に単純明快な話である。
いずれにせよ、「このままだと地球はミニ氷河期に入る可能性がある」というコメントから伺えるのは、この(おそらく日本で権威のある)太陽研究者は、CO2原因による地球温暖化説を信じていなかったし、今も信じていないことが明らかであるという事だ。
というのも現在のCO2温暖化説はこのような太陽活動の変動による影響をもすべて織り込み済みの筈だからである。織り込みずみのうえで、なおCO2増加が原因で今後何百年も気温が上昇をし続けるというのが現在主流のCO2温暖化説の予測であるからだ。
しかし怠慢により太陽活動の変動を織り込んでいなかったという可能性もある。仮にそうであったのであればこの機会に改めてCO2の変動メカニズムなども含め、地球温暖化の太陽活動主要原因説論者の包括的な説明に耳を貸すべきだろう。また政治家は科学者以上に太陽活動による変動要因を織り込んでいなかった可能性が大きいのだから、なおさら太陽活動主因説に耳を貸すべきだろう。