ブログ・発見の発見/科学と言葉 [2006年12月~令和元年まで]

2020年6月22日、本サイトの更新と過去の記事はhttp://yakuruma.blog.fc2.com/ に移転しました。当面、令和元年までの記事が残されています。

以前のタイトル:ブログ・発見の「発見」―科学上の発見から意味を発見―

2007年に本ブログを開始したときは、ウェブサイト上の科学に関するニュース記事(BBCニュース、ニューヨークタイムス、および日本の有名新聞サイト)に関するコメントとして記事を書き始めました。現在、当初のようにニュース記事に限定することなく、一般書籍や筆者自身の記事を含め、本ブログ記事以外の何らかの科学に関わる記事に対するコメント、具体的には感想、紹介、注釈などの記事を書いています。(2019年4月)

科学と言葉

『自然界における左と右』新版、マーティン・ガードナー著、坪井忠二他訳の部分読みと拾い読み

表記の本についてはこの3月に某所の図書館で最初のごく一部を読み、ちょっとした読後メモを矢車SITEの方に書きました:http://yakuruma.blog.fc2.com/blog-entry-177.html。今回、前回読んだ箇所を含めて一部を残して通読し、今度はブログ「意味の周辺」の方…

脳科学とは何かを考えるヒントとしての鏡像問題―養老猛司著『唯脳論』の読後感その2

―前回のこのテーマでの記事では、この有名な著作の基本前提となる主張への疑問に絞って掘り下げてみましたが、今回は「脳科学」という分野への著者の考え方あるいは方法論と一般的な認識について考えてみたいと思います。― 最初の「唯脳論とはなにか」という…

疑似科学論、ニセ科学論 ― 歴史や言説が科学でなければならないという強迫観念の産物

別のブログ『「意味」の周辺』に書いた記事[http://imimemo.blogspot.com/2013/01/blog-post.html:title=『岡潔の科学館とゲーテの言葉 ― 科学と人間的なもの ― 科学と陰謀 』]の内容が本ブログのカテゴリーと重なりますので、一部分を表題を変えて転載しま…

最近のNYタイムズ、地球温暖化関連記事から

かなり長期間ブランクがありましたが、NYタイムズの温暖化問題関連記事を見てみました。とはいっても、もうひと半月ほど前の記事です。 The Conversion of a Climate-Change Skeptic この記事は、次のサイトのデータを元に書かれています。 Berkeley Earth S…

「LED電球の光がまっすぐに進む」と言われることと「鏡像問題」との奥深い関係

(この記事は以前の記事とのつながりから別のブログ「意味の周辺」に書いたものですが、当ブログの基本テーマである科学と言葉の問題であり、鏡像問題にも関わることから、重複しますがこちらの方に転載します。)当ブログで先日、「LED電球の光が真っ直ぐに…

「LED電球の光がまっすぐに進む」と言われることと「鏡像問題」との奥深い関係

(この記事は以前の記事とのつながりから別のブログ「意味の周辺」に書いたものですが、当ブログの基本テーマである科学と言葉の問題であり、鏡像問題にも関わることから、重複しますがこちらの方に転載します。)ブログで先日、「LED電球の光が真っ直ぐに進…

(別のブログに掲載した記事ですが、こちらにも転載します。)一般に科学的な測定には大抵、時間が何らかの形で関わっている。第一、測定事体に時間がかかる。例えば温度計を読み取るにしても、厳密には絶えず変化しているし、温度計事体、周囲の温度に追随…

放射線許容しきい値問題と低線量(率)放射線が健康に良いという説への私見 ― 少なくとも現在認められているしきい値には正当な根拠があるように思われる

放射線許容しきい値問題と低線量(率)放射線が健康に良いという説への私見 ― 直線仮説支持者の論拠としきい値理論の文献を一般人の立場から検討して見た結果、少なくとも現在認められているしきい値には正当な根拠があるように思います。先般、別のブログに…

なぜCO2温暖化説否定論に確信が持てるのか

今回の原発事故をきっかけとした原発廃止の動きに関連して、またCO2温暖化問題にも注目が集まってきそうな雰囲気です。CO2温暖化説の問題についてはこのブログでも何度か記事を書いてきました。しかし科学ニュースの記事に即して科学技術上の問題を考えると…

「ニセ科学」関連記事

当ブログでも扱ったことのある「ニセ科学」問題に関係する記事を別ブログ「意味の周辺」に書きました: 『検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定』という呆れた新刊本 http://yakuruma.blog.fc2.com/blog-entry-35.html

「眼の誕生 ― カンブリア紀大進化の謎を解く」を読んで

日本の有名紙サイトおよびBBCニュースとNYタイムズの科学記事から題材を見つけて記事を書くという、当初の目標は昨年の春ころまでは辛うじてなんとか続けてきたのですが、それ以後は一種のスランプなのか、ついには新聞サイトの記事をチェックすることもなく…

鏡像問題と「虚像問題」

2007年12月の18日と19日に毎日新聞科学欄に掲載された鏡像問題に関する記事に触発されて当ブログに記事を書き、その後も何度か当ブログでこの問題を取り上げました。最近、当の記事で鏡像問題に付いて解説されていた多幡大阪府立大学名誉教授から、この問題…

変化、変動と人為 ― 最近の温暖化記事

科学欄記事としての地球温暖化問題の記事は、日本の新聞サイトでは余り目立った記事が見られなくなったようだ。ニューヨークタイムズでは、いつの間にか環境レポーターによるドットアースというブログがサイエンス記事のリンクから消えていた。このコラムで…

「3D」映画と眼の疲労、身体の不調

映画「アバター」のヒットにちなんでNYタイムズに、いわゆる3D映画を見ることによって気分が悪くなる現象についての解説記事が出ていた。簡単で小さな記事だが、幾つかの専門文献がリンクされ、奥が深く難しい問題であることが伺える。眼の疲労だけではなく…

最近の更新

最近は余裕がなく、あまり本ブログの更新をしていませんが、別のブログで更新した幾つかの記事が、このブログでも取り上げてきた問題に関わっていますので、とりあえずリンクしておきます。「疑似」という言葉の弊害 地球温暖化問題の個人的重圧 ― 前回に続…

金星の地殻とマントル、季候

ヨーロッパの金星調査衛星の新データに基づいた研究の記事がBBCニュースで報道されている。 (09/07/14) Probe hints at past Venus ocean (B) この記事を読むと、確かに現在色々な意味で金星は興味津々の惑星であることが分かる。今回の発見というのは、赤外…

真実を覆い隠す道具としても用いられる「科学」 ― 特に温暖化関連ニュースから言えること

前々回に取り上げた読売新聞のニュース「太陽この100年で一番元気なし、黒点見えない日88%」と同じ趣旨の内容が、さらに大げさに拡大したような形でBBCニュースに掲載されている: 'Quiet Sun' baffling astronomers この記事では(地質学的な記録など…

医学診断と表情の直感 ― 顔写真の効果

今読んでいる「シンボル形式の哲学(カッシーラー)」によれば、あらゆる認識の基礎に、直感による「表情機能」がある(つい最近になって第三巻の「表情機能と表情世界」の章を読んだばかりだった)。表情のなかでも人の顔の表情はやはり、特別な研究対象なの…

温暖化問題と専門性について ― 過去の記事を振り返って

温暖化問題に関わる記事をこのブログとは異なった文脈で別のブログに書きましたが、この問題はこのブログでも何度も触れている問題ですので、こちらにも再録します。これを書いた文脈は特にここでは必要ないと思います。「温暖化問題で言えば、少なくとも対…

「四川地震にダム関与の可能性」のニュースと英米のダーウィン特集から思う事

ニューヨークタイムズの記事 (09/02/05) Possible Link Between Dam and China Quake (N) は、冒頭の方で「a growing number of American and Chinese scientists are suggesting that the calamity was triggered by a four-year-old reservoir built close…

昨年末までを振り返って ―― 動物ニュース、科学コミュニティー、意味論など

昨年秋の終わり頃から多忙になり、ウェブサイトを含め、更新できない期間が続いた。 年末から年始めにかけ、少し時間をとってブログの方から再開しようと思ったが、ため込み、あるいは見過ごしてきたニュース記事の中身から何かを拾い出してあれこれ考える気…

二つの心理学ないし脳科学の実験研究― 「英語力上達に関係する脳」と「心の温かさ」

科学上の発見のニュースと言えるものは、大抵は専門誌に掲載されたとか、発表予定であるなどの契機でで公開されることが多いが、記事の書き方、表現の仕方はその都度、微妙に違っている場合がある。多くの場合はそういう論文が発表された、とか、そういう内…

素粒子物理学と社会、人生

前回18日の記事で触れた、日系ビジネスウェブサイトの記事、日本にノーベル賞を出すもう1つの理由 の続編が次々と公表され、興味深い内容から当然のことと思うが、大きな反響を呼び起こしているようである。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/…

対称性という言葉と概念

最近の科学ニュースで、特に日本で最大の話題はなんと言っても今年のノーベル物理学賞と化学賞受賞者決定のニュースになってしまう。日本の科学ニュースサイトでは何れも、多くは短いが、何本もの記事が掲載されている。ただ今回の受賞対象の研究は何れも何…

鏡像問題(3回目) ― 鏡像問題からクオリアへ

(この記事は最近のニュース記事に即した記述をするという趣旨からは若干ずれており、本来、以前の記事に対する自己コメントとして綴るべき内容かも知れませんが、前々回、前回と、クオリアについて触れたこともあってその続きとしてあえてここに掲載します…

共感覚と意味、クオリア、そして科学史と

今月初め頃になるが、BBC科学ニュースに次の様な発見の記事があった。 (08/08/07) 'Can anyone hear that picture?' (B)これは新しいタイプの共感覚が発見されたという報告で、具体的にはスクリーンセーバーの動的なパターンを見て音を聞き取る事ができる人…

科学と宗教的なものが出会う場所としてのエコロジーと環境問題

環境問題とエコロジーとは、いろんな意味で宗教と科学の出会う場所であると思う。出会い方にもいろいろある。闘争の場になったり、一方が他方を従えたり、利用したりということもあるし、もちろん対等な友達になることもある。もちろんここで宗教と言っても…

活断層、断層帯、地震活動帯(その3)― 擬人的表現の持つ便利さと陥穽

7月24日に起きた岩手沿岸北部を震源とする地震は地下100キロのプレート内部で起きた地震で、活断層型とは違う発生メカニズムとされており、被害が少なかったために名前が付けられず、各ニュースサイトの科学欄でもあまり取り上げられていないが、例によって…

活断層、断層帯、地震活動帯(その2) ―― 岩手・宮城地震

今回の岩手・宮城地震を分析する幾つかの国内記事で、前回触れたような、中国四川省地震で表面化した問題と全く同じ問題が今回の地域の地震予測においても存在していたことが明らかになったようだ。 つまり、特定の断層、この場合は活断層単独の調査結果から…

活断層、断層帯、地震活動帯 ―― 四川大地震関連の科学ニュース

科学ニュースとしての四川大地震関連の記事は読売と朝日で何度も繰り返し報道されている。読売はこれまでも、国内の地震が起きたときには頻繁に科学ニュースで取り上げており、今回も異なったソースからの解説が日をおいて多数報道されている。朝日でも数回…